2008年11月12日

生まれ来る子供たちのために

浦賀和宏「生まれ来る子供たちのために」 (〇)

あらすじ。
「崩れる――歪む――壊れる――溶ける――
俺たちの世界……。
松浦純菜シリーズ最終巻!!

世界で1番醜く、孤独な男――八木剛士。剛士を唯一支えてきた少女――松浦純菜。だが、剛士の非道な行いにより2人の関係は崩壊し、彼の最後の拠り所であった、最愛の妹にまで悲劇が!!運命に翻弄される剛士は、最後の復讐を開始する……。すべての絶望が向かう先には一体何が――!?ついに明かされる、剛士の出生の秘密!松浦純菜シリーズ、堂々の最終巻!!」


長かった松浦シリーズ最終巻。

第4章、5章、6章がこの物語のいわゆるオチなんでしょう。

4章を読んだときは驚愕、5章を読んだときには虚無感、6章では何故かちょっと怖かった。剛士は純菜が本当に好きだったんだね。彼の愛の形は恐ろしく歪んでいるし、醜くいし、気持ちが悪い、そう思っていた。でも、剛士の愛を強固にしたのが第6章の話だったんだね。それならよくわかるような気がするよ。「容疑者X」の純愛なんかたいしたことがないと思った。


正直このシリーズは同じことの繰り返しでストーリーの流れは非常に緩やか。無駄に長いのだ。そして性的描写、いじめ描写、社会批判が多すぎて辟易することもあった。

ただ、容姿醜悪な剛士、引きこもりの南部、手を失った純菜のようななにかを抱えて苦しむ人間の内面描写をしつこいくらいに描き切ることはなかなかできないし、誰もしようとしないと思う。おそらく小説のほとんどは主人公を障害者にしたり、容姿醜悪のコンプレックスの塊のような人間を描こうとはしない。できたとしても一般常識の範疇に納まるようなことしか書けないだろう。それを社会に対する呪詛やセックスがしたいという絶対的な欲望を気持ち悪かろうが醜かろうがしつこく書ききったことに、価値を感じた。そして僕もそういう人間に近いのでいろいろと共感した。

物語自体は先に書いたようにそれほど面白いと思えることは無かった。でも、この作品のインパクトはとてつもなくデカかった。浦賀さんの作品は今後も読んでいきたいな、そう思いました。
posted by うーすけ at 16:19| Comment(1) | TrackBack(0) | 浦賀和宏 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by ホテルマン at 2008年11月14日 06:51
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